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前兆のある片頭痛患者における神経炎症の関与

Albrecht DS, et al. Imaging of neuroinflammation in migraine with aura. A [11C]PBR28 PET/MRI study. Neurology 2019;92:e1-e3.

 

慶應義塾大学神経内科
企画広報委員
柴田 護

【背景・目的】

 皮質拡延性抑制 (cortical spreading depression: CSD)は片頭痛前兆の原因と考えられている。動物実験のデータなどから、CSDが神経炎症を引き起こすことが明らかにされている。 本研究では、前兆のある片頭痛 (MA)患者の脳各所におけるグリア細胞活性化を可視化することにより、神経炎症の病態への関与を考察している。

【方法・結果】

 13名のMA患者と16名の健常対照者に対して、[11C]PBR28をリガンドにしたPET/MRIスキャンを行った。 このリガンドは、18 kDa translocator protein (TSPO)に結合するが、TSPOは神経炎症発生に伴って活性化されたアストロサイトとミクログリアで発現が上昇することが知られている。 今回対象としたMA患者は、月に1~15回の発作が1年以上にわたり経験されている者で、検査直前の2週間においてNSAIDを服用していないことを条件とした。 また、精神疾患や炎症性疾患の合併のない患者とした。 標準化取込値 (standardized uptake value: SUV)は、健常対照者に比較してMA患者において左視床、左島皮質、V1で有意に高値であった。 また、右三叉神経脊髄路核、右S1顔面野において有意差は認めなかったものの高値を示した。 ボクセルごとの比較においては、[11C]PBR28シグナルは脳の広い領域 (島皮質後部、島皮質前部、一次および二次感覚野、一次運動野、視覚野、聴覚野、前頭前野背外側部、前頭前野腹外側部、前頭前野腹内側部、眼窩前頭皮質、被殻)においてMA患者で高値であった。 また、視覚野では一時視覚野だけでなく動体の視覚処理に関与する中側頭回やV3AでもPETシグナル上昇が確認された。 また、MA患者の左S1顔面野でのSUVは月当たりの片頭痛発作回数と正の相関を示した。ボクセルごとに検討すると、右島皮質後部/S2、右S1、左前頭葉島皮質、前部帯状皮質で月当たりの発作回数との有意な正の相関が観察された。

【結論・コメント】

 本研究の結果は、MA患者の脳の広範な部位において神経炎症が生じている可能性を示唆している。 動物実験では、CSD誘導に伴ってアストロサイトやミクログリアの活性化が報告されているが、そのような変化が実際の片頭痛患者で生じている可能性が明らかにされたといえる。