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片頭痛急性期におけるubrogepantの頭痛と最も煩わしい随伴症状に対する効果

Lipton RB, et al. Effect of ubrogepant vs placebo on pain and the most bothersome associated symptom in the acute treatment of migraine: The ACHIEVE II randomized clinical trial. JAMA 2019;322:1887–1898.

 

慶應義塾大学神経内科
企画広報委員
柴田 護

【背景・目的】

 片頭痛急性期治療にはトリプタンやNSAIDsが使用されているが、いずれも効果不十分であったり、禁忌項目があるため使用できなかったりする症例が存在する。不十分な急性期治療は薬剤の使用過多による頭痛 (MOH)の原因となることもあるため好ましくない。CGRPは片頭痛病態に重要な役割を果たしているが、現在数種類のCGRP受容体拮抗薬が開発中である。これらの薬は血管収縮作用がないことからトリプタンより安全と考えられている。本論文ではCGRP受容体拮抗薬ubrogepant (UBR)の片頭痛急性期治療薬としての効果を検討した第3相臨床試験の結果が報告されている。

【方法・結果】

 米国99施設で施行された多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。対象は18~65歳の前兆のない片頭痛あるいは前兆のある片頭痛の病歴を1年以上有している患者とした。また、発作に中等度以上の光過敏、音過敏、悪心のいずれかの随伴症状が認められる患者とした。慢性片頭痛の病歴のある患者は除外されたが、予防薬投与を受けている患者は対象とした。中等度以上の単回発作に対して、UBR (25 mgあるいは50 mg)あるいはプラセボを経口投与し、投与2時間後の頭痛消失と最も煩わしい随伴症状 (MBAS)消失を主要評価項目とした。試験薬剤は頭痛発生から4時間以内にできるだけ早く服用するように指導した。なお、初回投与2~48時間において選択性で2回目の試験薬投与を受けられる設定も行われた。1686名の患者がランダム化され、563名がプラセボ、561名がUBR 25 mg、562名がUBR 50 mgを服用した。平均年齢は41.5歳で、90%が女性であった。予防薬は24%の患者で使用されていた。MBASの内訳は、57%で光過敏、26%で音過敏、17%で悪心であった。主要評価項目である2時間後における頭痛消失が達成された症例の率に関しては、プラセボ群で14.3%であったが、UBR 50 mg群で21.8%、プラセボ群に対するオッズ比1.62 (95%信頼区間: 1.14–2.29, P=0.01)、UBR 25 mg群で20.7%、プラセボ群に対するオッズ比1.56 (95%信頼区間: 1.09–2.22, P=0.03)であり、UBR両群が有意に高かった。MBASの消失率に関しては、プラセボ群で27.4%であったが、UBR 50 mg群で38.9%、プラセボ群に対するオッズ比1.65 (95%信頼区間: 1.25–2.20, P=0.01)、UBR 25 mg群で34.1%、プラセボ群に対するオッズ比1.37 (95%信頼区間: 1.02–1.83, P=0.07)であり、UBR 50 mg群でのみ有意に高かった。さらに長期のフォローアップを行うと、プラセボとUBR群の頭痛消失に関する差は3~8時間後で最も顕著で、かつプラセボ群ではレスキュー薬の使用は多かった。なお、2回目の試験薬投与を受けた患者の中でUBR 50 mg投与を2回受けた患者と1回目がUBR 50 mgで2回目がプラセボを投与された患者を比較すると、2回目の投与2時間後の頭痛消失率は有意に高かった [36.1%、プラセボ群に対するオッズ比2.18 (95%信頼区間: 1.02–4.69)絶対差17.1% (95%信頼区間: 2.9–31.1%)]。投与48時間以内に報告された有害事象発生は、プラセボ群10.2%、UBR 50 mg群12.9%、UBR 25 mg投与群9.2%であった。症状の内訳に郡間差はなく悪心と非回転性めまいの頻度が高かった。

【結論・コメント】

  CGRP受容体拮抗薬UBRは片頭痛急性期における頭痛とMBASに対して有効性と安全性が確認された。また、50 mgに関しては追加投与による効果が実証されたことも重要である。別のCGRP受容体拮抗薬の開発も進んでおり、複数のCGRP受容体拮抗薬 (gepant)の使い分けなどもいずれ議論になると予想される。なお、2019年12月5日号のNew England Journal of Medicineでは、プラセボ、UBR 50 mgおよび100 mgによる治療効果を検討した第3相試験の結果が報告されており、100 mgで最も高い効果が示されている (Dodick DW, et al. NEJM 2019;381:2230.)。