日本頭痛学会

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複数の予防薬で治療が奏功しなかった片頭痛に対するErenumabの効果と忍容性

Reuter U, et al. Efficacy and tolerability of erenumab in patients with episodic migraine in whom two-to-four previous preventive treatments were unsuccessful: a randomized, double-blind, placebo-controlled, phase 3b study. Lancet 2018. doi: 10.1016/S0140-6736(18)32534-0.

 

慶應義塾大学神経内科
企画広報委員
柴田 護

【背景】

 片頭痛の予防薬としては、βブロッカー (主としてプロプラノロール、メトプロロール)、抗てんかん薬 (主としてトピラマート、バルプロ酸)、抗うつ薬 (アミトリプチリン)が用いられているが、いずれも片頭痛に特異的に開発された薬剤ではない。有効性や忍容性の問題から半数近くの患者で早期中止に至ることが報告されている。CGRP (カルシトニン遺伝子関連ぺプチド)は片頭痛病態に重要な役割を果たすと考えられている神経ペプチドであり、CGRP受容体に対するモノクローナル抗体Erenumabは片頭痛予防薬としての有効性が実証されている。 本研究はLIBERTY試験と呼ばれ、上記の既存予防薬で治療が奏功しなかった患者を対象にErenumabの有効性と忍容性について検討している。

【方法・結果】

 2017年3月~10月まで16か国59拠点で施行された国際的臨床試験であり、18~65歳の反復性片頭痛の患者を対象とした。スクリーニング前の3ヶ月間において片頭痛のある日数が月当たりに4~14日認めた患者で、かつ2~4種類の予防薬が有効性あるいは忍容性の問題から奏功しなかった患者を対象とした。また、対象者に関して片頭痛を認めた日数が4~7日/月と8~14日/月の2つのグループに層別化した。 試験期間中はランダム化して4週間に1回70 mgあるいは140 mgのErenumabを12週間にわたって皮下注射する治療群とプラセボ群に割り付けて効果を比較した。 主要評価項目は試験期間9~12週後における片頭痛を認めた日数がベースラインより50%以上減少した患者の割合とした。 333名が当初スクリーニングされたが、最終的に121名がErenumab投与群に、125名がプラセボ群にそれぞれランダム化されて割り付けられた。 246名中95名は2剤、93名が3剤、56名が4剤に対してそれぞれ治療歴を有していた。ベースラインにおいては、Erenumab治療群の片頭痛を認めた日数は9.2 ± 2.6日/月であり、プラセボ群では9.3 ± 2.7日/月であった。 9~12週において片頭痛を認めた日数がベースラインより50%以上減少した患者の割合は、Erenumab治療群で36%であり、プラセボ群の14%に比較して有意に高かった (オッズ比2.7 [95%信頼区間1.4~5.2], P = 0.002)。 また、1~4週と5~8週についてもErenumab治療群ではプラセボ群に比較して有意に高い割合を示した。 さらに、9~12週において75%以上片頭痛を認める日数が減少した患者の割合もErenumab治療群で高かった (オッズ比3.2 [95%信頼区間1.1~9.0], P = 0.025)。 治療効果は、以前に用いられた予防薬の種類に関わらず同様に認められた。また、有害事象に関しては両群で差はなかった。

【結論】

 Erenumabは既存の片頭痛予防薬が奏功しなかった症例に対しても有効である可能性が示された。これまで難治と考えられていたり、副作用などで予防薬継続が困難であったりした症例に対してErenumabが有効な選択肢であることが示されたといえる。